九州うまかもん

昔の友人が、新宿のデパートで店を出すというのでひやかしに行きました。

福岡長崎の名産品の催事です。彼はいくつか転職を重ねた結果、いま福岡の酢造屋さん(酒造じゃなくて酢造)にいて、なにしろ豊富なキャリアで口八丁手八丁だから、デパートの催事の売り子となって東京に来たのです。

そこの酢はとにかくうまいのが自慢だそうな。商品が並んでいるところを見ると黒酢もありますが、柿酢(柿の実から作る)なんてのもあります。

ちょっとサボらせて、コーヒーでも飲みにいきます。

コーヒーを飲みながら雑談、といっても いいオジサンが二人だから半分仕事みたいな話題。九州の食品メーカーといえば有名な成功例もあります。やはり聞いてみたい。

「健康食品として売ったり、柿酢を黒酢の次のブーム食品にしたりするつもりはないの?」「ない。そんなに作れんし、うちはあくまでも『美味い酢』でいく。」

最初に言ったように彼はビジネス感覚もあるし、広告やマスコミのこともよく知っているのですが、そういうことはしたくないというのです。

それからしばらく酢についてのレクチャーを受けました。日本の酢市場は寡占の状態で(だいたい「酢」といえば会社名が頭に浮かぶでしょ?) 表示などの法規制もその会社がリードしている、とか。「黒酢とはなにか」についての法規制が変わって、これまでより全然ゆるくなって、米にアルコールをぶちこんで速成して、それをチャコールで黒くしたものでさえ「黒酢」と表示できるようになった、とか。

日本酒、醤油、味噌、と同じように酢にも戦後吹き荒れた速成の嵐があったんですね。しかも健康ブーム黒酢ブームでいまも風速は衰えていないらしい。

ちゃんと作ると三年寝かせないとできない柿酢(柿の皮の固いところまで全部醗酵して美味しいアミノ酸になって落ち着くのにそれくらいかかる)に対して、米にアルコールをまぜて25時間で醗酵させたものに、柿の実をミキサーにかけてまぜて一週間置いたもの、それが表示的には「どちらも柿酢である」と。

「うちはちゃんと美味しい酢を作りたいから、そういう速成路線はとらんと」 と 彼は博多弁で語ってくれました。実家でもないのに「うち」と呼んでいる。もうすっかりその酢造家の一員になっているようでした。

「で、俺はなに飲んだらいいの?柿酢?黒酢?」「あんたの場合は胚芽もろみ酢やね」「ハイガモロミス??」

玄米胚芽米から作ったという酢をすすめられて、「これを毎日50ml、水に薄めて飲みんしゃい」「お、わかった」 じゃね、と別れてきました。

どの業界もそれぞれに深いものです。

ちなみにこの物産展は掘り出し物が多くて、五島列島は福江島三井楽水産の「鬼鯖鮨」、長崎市魚の町「松翁軒のカステラ」(福砂屋よりもっと濃ゆい味)などを買って帰りました。

九州はうまかもんの多かバイ、という 連休の最終日でありました。
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by hastadomingo | 2007-05-06 21:08 | よしなしごと
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